世界-7 王の使者は解放と自由を求む


王 の 使 者

王の使者はアルマーの存在を知る者の一つだった。

彼らは手足の爪を緋色に染め、強い薬草で色を抜いた髪を長い三つ編みにした。

さらには、肌を黒く焼き、白いショールに全身を包む。

みな同じ特徴的な格好をし、銀の花十字の額飾りを身の証とする。

そして、その名が示すとおりに晶華の王に仕えることを自らに課した。

一つは、出生、成人、婚姻、死者を送る儀式に折々の祭事を執り行う。

一つは、魔法を宿した子及び踊り子の一切の記録を行う。

一つは、踊り子の保護に努め、その成人に際しては扉の開放を行う。

個の欲望を捨て、一身に尽くせば、束縛された自我から解放され、自由になれるという。

そのため、王の使者は自らを複数体で呼び、他者には彼らと呼ばれた。

集団を作って神殿に住み、日夜にわたり研鑽を積んだ。

しかし、彼らは長らく別の目的を隠し持っていた。

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