世界-6 踊り子は芳しい匂いで誘う
踊 り 子
踊り子の刻印は、無垢の刻印と特別に言い習わされていた。
星型のそれは、色香の石が形づくるもので、
いずれ美しい印が重ねられることが運命づけられているためそう呼ばれる。
訪う使者の口づけは踊り子に熱情を生み、水の一族を誘引する匂いの発露を促す。
互いに相手を求め合い、水合わせと呼ばれる番いの儀は行われる。
それは決まって月夜という。
その後、幾夜となく重ねられる交渉により水の一族は晶華に水脈という恩恵をもたらす。
交渉は花が舞いでもするよう美しく為される。
彼らが踊り子と呼ばれる所以であった。
ふくいくたる匂いは神に連なる者を誘うのみならず、時に魔力のないただ人をも飲み込む。
そのために不幸に遭うことが多く、表立って人前に姿を現すことはないという。
それすらも限られた者しか知ることがなかった。
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