世界-5 赤子は星を握って生まれる


魔 法 を 宿 し た 子

星を握って生まれた赤子は魔法を宿している。

その小さな手に星、つまり、光輝く石を握って生まれる。

石はやがて体の一部となり、刻印として残される。

記録された子らは、幼い頃より師の下で力の使い方を身につける。

言葉を発し、いんを結んで力を形にする。

虹彩は三日月様に変化し、神がかった状態に自身を転換する。

取り立てて大きな紛争のないこの地では、魔法は工芸と薬術の場で花開いた。

手先の器用な者は細工師として工房を、知識の深い者は調合師として薬屋を開いた。

多くはそのどちらかの道を選ぶが、そうでない者が少数ながら必ず現れた。

彼らは色香の石の刻印を持ち、あるものを誘引する匂いを立ち昇らせる。

領域を重ねて棲む水の一族との交渉は彼らが担っていた。

彼らは踊り子アルマーと呼ばれた。

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